あいつには真っ白い新しいの着せてやれ

父親のこと
先天性で障害のある足で生まれた私。

まだ一才を過ぎたばかりの私が、治療で下半身全部がギプスに。

その晩、痛くて外したがって火のついたように泣いたらしい。

泣き疲れてやっと眠った私に、母と一緒になって寝かしつけてくれた強がりの父が、

「ふびんだ、俺のせいだ!変わってやりてえ!!」

って男泣きに泣いたんだよ…

と母から後年聞いた。

今、どんなに隠しても痛みがあると言い当てられてしまう。

心配かけたくなくてわざと元気に歩いても、ニコニコ笑っていても、音でわかるんだそうだ。

そして私の結婚式の白打掛の衣装選びの日。

新しい真っ白なのと、少し古くてちょっと黄ばんで見えるのしかなくて、でも差額は格段に違う。

当時は今のようなシンプルな披露宴じゃなく、いわゆる派手婚の時代。

恥ずかしいけど親にいくらか援助してもらわないといけなかった。

ただでさえかかるお金に私が安い方の白無垢にしようと悩んでると母が話したら、

「あいつ(私)には真っ白い新しいの着せてやれ。苦労したんだから。」

と言ってくれたと聞いた。

苦労したのは両親。

この足のことでたくさん心配かけたから。

お陰で自分のハンデについて誰を恨むことなく

(恨んでいたら辛い人生だったと思います)

大人になり、子どもも二人授かりました。

父にも母にも感謝しきれないエピソードはあるけど、「とんび」見てると、安さんに似た不器用だけど子煩悩な父から受けた愛情に、滂沱の涙がでるのです。

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