母親である自分が一番でないと嫌なのです

母親のこと
私はお母さんが大好きです。

子供の頃からずっと一番好きですし、今でも大好きです。

「何故こんなに好きなのかな~」と時々考えるのですが、お母さんって無償の愛を捧げてくれるからだと思います。

無償の愛って凄いと思います。

人間、善人ではないので、心の奥底では見返り、せめて評価を求めていると思います。

でも、母親が子供に捧げる無償の愛だけは、完全に見返りを求めないのです。

この無償の愛が人間を一人前の成人に育て上げ、荒波にも負けない強固な精神を作り上げるのだと思います。


私はこのお母さんからの無償の愛を存分に感じたからか、年頃になると、今度は自分が無償の愛を捧げる対象である我が子を心から欲しいと思うようになりました。

でも、私は女性ホルモンのバランスがかなり乱れていて排卵もほとんど出来ていない身体でした。

その為に10年近く産婦人科に通い続けました。

病院にかかるだけでなく、食生活や日常生活でも、出来る努力は色々試しました。

「子供が欲しい」という強い気持ちと焦りから、夜中に気がおかしくなり何回も主人に当り散らした事もありました。

又、同じ時期に結婚した同僚の妊娠報告を聞いて泣きながら家に帰った事もありました。

そんな辛い日々を経て、やっと子供を授かったのです。

それも内心希望していた女の子です。

自分とお母さんのような親子関係を築いていく事を直ぐに夢見ました。

でも、産まれてきた我が子は産まれつき強度の近視で、目が開いた瞬間から、目が開いている時間はほとんど暴れて泣いて過ごすような子供でした。

今までそんな話しを聞いた事がなかったので自分の子供に何が起きているのか分かりませんでした。

ずっとパニック発作のように暴れて泣いて過ごす子を誰にも預けられませんでした。

主人にも自分の母親にも預けられないし、他のママ友達と交流する事も難しかったです。

自分の時間は勿論の事、家事をする時間もほとんど無く、子供が眠っている間だけが家事に当てられる時間でした。

「大変だな。しんどいな」

と、ずっと思っていました。

でも、欲しくて欲しくて手に入れた我が子なのです。

どんなに暴れて泣いて困らされても

「この子を守れるのは私しかいない」

と思っていました。

でも、主人も父親1年生、訳が分からなかったのでしょう。

変に手を出してきたり、アドバイスをしてきたりしました。

それが24時間張り詰めた私の心にナイフのように鋭くささりました。

「分かってもないのに手を出さないで」

「何も知らないくせに偉そうに言わないで」

と、何回逆上したか分かりません。

この頃は、ただでさえ娘でいっぱいいっぱいの私に、更に追い討ちをかけてくる厄病神か悪魔のようにしか見えませんでした。

それでも、成長と共に、強度近視である事が発覚し、適切な眼鏡をかけさせ、その生活に慣らしていくと、徐々にパニックは治まっていきました。

「少し落ち着いてきたかな」

という頃、ちょうど4歳の頃でしょうか。

娘が主人のお姉さんに急に懐くようになった時期がありました。

年に1回か2回しか会わないのにです。

「お姉さんが好き」と何度も言われると、「孤独と不安に耐えここまで大きくしたのに…」と大人げもなくショックでした。

そこで、娘は主人にそっくりで、主人とお姉さんも似ているので、

「実はお母さんは本当のお母さんじゃなくて、お姉さんが本当のお母さんなんだよ」

と意地悪を言ってしまいました。

すると、娘はよく理解出来ないようで、「え~、おかしいよ」とか「嘘だよね」とか言っていました。

そうやって意地悪した後も、とてもショックでした。

一人置いてきぼりにされたような気がしました。

でも、その日の夜、急に娘が「わー」と泣いて起きてきたのです。

熱でも出たのかとビックリしました。

「どうしたの?」

と聞くと、

「お姉さんがお母さんなんておかしいよ」

「もうお姉さんなんて好きじゃない」

「嫌い、嫌い!」

とワーワー泣いていました。

「こんな小さい子供を驚かせて私は母親なのに何をしているんだろう…」

と思いました。

でも、娘が落ち着くまでずっと一緒に真っ暗なトンネルを潜ってきた私にしか分からない悔しさがあったのです。

どんな目に遭ってもこの子が可愛い。

何でも出来る。

その分、母親である自分が一番でないと嫌なのです。

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