細くなった背中は震えてた

父親のこと
もうすぐ51歳になる5月を目前に余命宣告をうけたお父さん。

体調良くないわぁ。。

と、こぼしてたけど『仕事が忙しいせいだ』と誰も疑わなかった。

咳が止まらなくなり、ようやく出来た休みの日に、町医者に行ったらすぐに大病院へ。

即入院、そして余命宣告。



後悔しかなかった。

でも諦めたくないからいっぱい調べて色んな病院行って、好きな事沢山しようって決めて孫と遊んで。。。

それでもどんどん痩せて行ったお父さん。

入院中、私に背をむけて寝ていたお父さんが

「ちょっと、手ぇ貸して」

と言ってきた。

私は何か手伝って欲しいのかと思い

「何したらいい?」

と尋ねると

「えーから、手ぇ出して」

と。

何か分からず右手を差し出したら、背を向けたままギュウっと握った。

細くなった背中は震えてた。

とても長い時間に思えたけど、きっと数秒の事だったと思う。

「ありがとう。もうええわ」

と手放した。

その2日後に逝ってしまったお父さん。

本当に不器用なお父さんなりの私へのサヨナラだった。

泣いてるとこも見せたくなかったんだよね?

言葉には出来なかったんだよね?

わかってるから安心してね。

私は元気に、お母さんやってるよ。

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