ほな、残ったご飯でおにぎり作って

母親のこと
おととしの、秋の話しです。

私が小学校5年の時に家をでて居場所のわからなかった母に、23年振りに顔をあわせました。

祖母の葬式の時です。

その時、母の家に遊びに行く約束をしました。

その日は、私が料理を作りました。

ハンバーグと肉じゃがと、簡単なサラダです。



2人で食事をしてお酒を飲んで、始めはあたりさわりのない話しをしてました。

それから「何故いなくなったのか?」という話しになりました。

母は、たんたんと話します。

私も母がつらくならないように、途中、冗談を入れながら聞きました。

帰る時、

「今日はおかあちゃん、なんもできひんかってごめんな。」

と、言ったので、私は

「ほな、残ったご飯でおにぎり作って」

と言いました。

母は、

「そんなんで、ええんか」

と笑いながら作ってくれました。

帰り、駅からタクシーに乗りました。

今日のことを思い出しているうちに、不覚にも涙がててきました。

運転手さんがびっくりして、「気分悪いんか?」と聞かはりました。

私は

「いえ、なんか、嬉しくって、泣けてきちゃったんです」

と泣き笑いしながら、運転手さんに今日の事を短く話しました。

すると、運転手さんも一緒に泣き出してしまいました。

「よかったな、よかったな」

と鼻水まですすってました。

家に持って帰ってきたおにぎりは、冷凍庫にいれました。

元気のない日に、1コづつ大事に大事に食べました。

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