行ってきます【母と交わした最後の言葉】

母親のこと
僕のお母さんは、癌で死にました。

今僕は中学1年ですが、小さいころから母は何度も入院したりしていて、子供ながらに何でだろうと思っていました。

小学5年生の時ぐらいから、母はいつも帽子をかぶるようになっていきました。

今思えば、それは辛く苦しい抗癌剤の副作用なのでした。

母は旅行などでも笑顔を絶やさない人で、いつも笑っていました。



そして小学5年生の春休み前、母は父と一緒に

「行ってきます」

と行って、病院へ行ってしまいました。

それが、母と交わした最後の言葉でした。

それから祖母の家で過ごしていました。

しかし、3月の下旬、いきなり午前4時ごろに起こされ、車で病院へ行きました。

病院へ着き、急ぎ足で病室へ行くと、そこには電源のついていない医療機器と気持ちよさそうに寝ている母の姿がありました。

近くに行ったら父が

「お母さんは、すごく頑張ったぞ」

と泣きそうな顔で言いました。その時僕は悟りました。

『母は逝ってしまったと・・・』

頭が真っ白になった僕を、父は抱きました。

そのまま祖母の家に帰された僕は、布団の中でずっとずっと泣いていました。

翌日、葬式があり告別式も済み出棺されました。

骨を拾っているときも、僕は涙をこらえていました。

その後、母の遺品を見ていると

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ハッピーバースデー

1歳の君へ

もう歩けるようになったかなぁ

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という手紙が出てきました。

他にもいろいろな手紙が出てきました。

それは、母が僕宛に書いたけれど、照れがあったためしまっておいた手紙の数々なんだなぁと思い大号泣しました。

母は僕のことを1番に考えてくれていたのです。

そんな母に、たいした親孝行もできなかった僕は後悔しました。

でも、僕は今精一杯生きています。

母にできなかった分、父に親孝行するために。

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