従兄は、私を茶化さず頭を優しく撫でてくれた

いとこのこと
私には、歳が4つ離れた従兄の兄がいます。

昔から家が近所だったこともあり、お互いを「お兄ちゃん」「○○ちゃん」と呼び本当の兄弟のように育ってきました。

10歳くらいの夏休みのときのことでした。

従兄の家族は、夏休みを利用し中国に2週間ほど旅行へ行くことになりました。



私は従兄が遠くに行ってしまうことを嫌がり「お兄ちゃんと行く!」と飛行機の直前までタダをこねて私と従兄の家族を困らせましたが、従兄が「大きくなったら一緒に行こうね」と宥めて渋々、私は従兄家族を見送りました。

いつも一緒に遊んでいた兄が旅行に行ってしまい、暇を持て余した私は絶対に近付いては行けないと言われていた近所の工事現場に入りこんでしまいました。

しばらく工事現場で遊んでいたのですが、そこから先は記憶が曖昧です。
後々周りから聞いた話だと、土砂の生き埋めになってしまい、その時のショックで記憶が曖昧になってしまっているらしいです。

目が醒めて初めて見たのは見知らぬ真っ白な天井でした。

私の意識が戻ったことに気付いた両親は、私の目の前で大泣きをはじめました。

ふだん厳格で涙なんて見せない父までボロボロと涙をこぼしていました。

幸い、工事現場の方が私が埋められた際の悲鳴の悲鳴を聞いたらしく、すぐに救出され命に別状はなかったのですが、脳に障害が残り半身不随や頭痛、吐き気、心の障害としてパニック障害と過呼吸の発作が残ってしまいました。

従兄は、私が工事現場に入りこんで事故にあったことを自分のせいだと思ったのか、その一件から私にべったりになってしまいました。

それでも年齢を重ねるうちにだんだんとお互いの距離が離れていき、最近までほとんど連絡もないままになってしまっていました。

そんな従兄から昨日電話がありました。

「明日夕方家に行ってもいい?」とのこと。

特に断る理由もなく、二つ返事でOKしました。

そして今日の17時頃、両手に大量の紙袋を下げた従兄が家に来ました。

私「なにその荷物www夜逃げでもしてきたの?www」

従兄「違うしwwwお土産だよwww」

ひとつの紙袋の中を見ると沢山の香辛料

私「なにこれ、カレーでも作るの?www」

従兄「うーん、おしい!」

彼曰く、つい一昨日まで中国に出張していて、そのお土産の山なんだそうな。

私「それにしても多過ぎwww」

従兄「昔一緒に旅行に行こうって約束したのに、○○ちゃんは旅行に行きづらい体になっちゃっただろ?」

従兄「だから気分だけでも味わってもらおうと思ってwww」


約束した私自身もう忘れてた約束を従兄は覚えていて、それが果たせないと思ったらわざわざ大量に中国の物を買ってきてくれて…

不覚にもうるっと来てしまって、慌てて後ろを向いたら

「お?泣き虫○○がまた泣いたか?www」

ってwww

うるせーばかwww誰のせいだwww

そのあと色々な話をした。

今までの距離を埋めるかのように小さい出来事、大きい出来事、嬉しかったこと、悲しかったことを沢山話した。

夕飯時になり、半身不随の私にかわって従兄が夕飯を作ってくれることになった。

中国で買った物を使って、中国で知人に教わった料理を作ってくれた。

トンリャー(?)の酢豚と小籠包。

どんだけ本格的なんだとwww

ほかにも色々作ろうとしてたけど、流石に食べ切れないので流石に止めたwww。

とくに酢豚が美味しかった。

なんだか凄く珍しいお肉を使ってるらしく、とても高かったんだそうな。

柔らかくて、パインが入ってないのにほのかにフルーツの香りがした。

「何の肉?」と聞くと

「うーん、特別な豚みたいな?」との答え

もしや犬肉か…と思ったけど私の思い過ごしだったらしいwww

だって酢豚食べるときにニヤニヤしてるんだもんwww

多分自信料理だったんだろうなぁ。

昔から私を喜ばせようとするときはニコニコニヤニヤしながら私の顔を見てたからなぁwww

夕飯のあとにはデザートまであった。

オギューチ(?)ゼリーとやら、サッパリして美味しかった。

従兄は多才だなぁ…

「シェフにでも転職しろwww」

と言ったら

「俺は○○ちゃんの為に料理覚えたんだよwww今日の料理も体にいいやつばっかだしなwww」

「沢山食べて体治していつか旅行に行こうな」ってwww

お前は私の彼氏かwww

もう嬉しくなっちゃって我慢してたのに結局泣いてしまったwww

もう従兄は、私を茶化さず頭を優しく撫でてくれた。

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