残念だけど仕方がない

母親のこと
お祭りごとや楽しいこと、賑やかなこと、綺麗なものが大好きな義母だった。

そんな義母が、ある日、クリスマスイルミネーションで家でもやりたいと言い出した。

その時の義母は、癌で余命宣告を受けていた。

そして、家族で過ごす最後のクリスマスだと思っていたらしく、

「一度でいいから自分の家もテレビや雑誌で紹介されていたような、綺麗なイルミネーションで飾って、素敵なクリスマスの思い出を作りたい」と。



それで、私や夫や娘たちがカタログを貰ってきて、義母が気に入ったものを買い求め、ご近所さんの中でも断トツに素敵に飾ったんだ。

そして、イヴ当日には大きなMerryChristmas!の文字を飾る予定で、義母はワクワクワクワクしてた。

ところが、イブの日、隣家のご主人が急死した。

白黒幕におおわれた隣家の隣でイルミネーションをというわけにはいかない。

「残念だけど仕方がない」

義母はあっさり気持ちを切り替えて片付けを始めた。

そして義母は、次のクリスマスを迎えることはなかった。

毎年クリスマスイルミネーションを見る度に義母のことを思い出してしまう。

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