お母さんへのお小遣い

子どものこと
あるところに、少年と母親だけで暮らしている家族がありました。

少年と母親は助け合い、貧しいながらも楽しく暮らしていました。

でも、少年が小学5年生のトキにクラスでこんな話がでました。

「お小遣いいくらもらってる?」

少年は貰っているはずもなく、黙って話を聞いていると、ある子供が言いました。

「僕ね、お手伝いをしたらお小遣いがもらえるんだ。この間もプラモデル買っちゃった!」

少年は思いました。

「そうか!僕も毎日お手伝いしてるから、お小遣いをもらおう!!」

少年は家に帰り母親に

【請求書:お風呂掃除:300円 洗濯:300円 部屋の掃除:300円 合計900円】

と書いた紙を渡しました。

母親は暫く黙って

「何に使うの?」

と訪ねました。

少年は

「みんなが貰ってるから欲しくなったの」

と答えました。

母親は悲しい目をしながら

「ゴメンね。うちには、お小遣いをあげる余裕はないんだよ」

と返しました。

少年は

「なんで?僕はちゃんとお手伝いしてあげてるじゃない!!」

母親は

「してあげてるって気持ちで今まで手伝ってくれてたのかい?お母さんとあんたは支えあって来たんじゃなかったのかい?」

と、また悲しそうな目で言いました。

少年は家を飛び出しました。

少年は納得できません。

「僕は働いたのになんで…」

辺りも暗くなってきて、少年は心細くなり、家に帰ることにしました。

少年が罰が悪そうに家に戻ると母親がいつも通り「おかえり」と言って夕飯の準備をしていました。

少年は黙って家に入りました。

夕食のトキも会話はありません。

少年は「ごちそうさま」と一言だけ言って、自分の部屋に行きました。

すると、机の上に何か載っています。

900円です。

そして隣には紙が。

【請求書:夕食:0円 熱が出たときの看病:0円 忘れ物を届ける:0円 合計0円】

と書いてありました。

お母さんが今まで自分にしてきてくれた事が一気に頭中に溢れてきました。

そして紙の最後に【これだけしかあげれなくてゴメンね。】と書いてありました。

少年は初めて支えあうことの意味を知りました。

次の日母親が起きると食卓の上に少年からの手紙が。

【お母さんへのお小遣い】

その手紙と一緒に、昨日の900円も入っていました。

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