幼い頃からゲームは一切触らせて貰えなかった

父親のこと
俺の親父は公務員で真面目。

歳を取ってからの子供なので、周囲からは甘やかされてると思われていたが、非常に厳しい親父だった。

そして変質的とも思えるほどにゲームを嫌っていて、幼い頃からゲームは一切触らせて貰えなかった。

お年玉や小遣いを貯めても、ゲームだけは絶対に買わせてくれなかった。

昔友達にGBを借りてこっそり遊んでいたのがバレた時には夜遅いというのに、無理やりに友人宅まで返しに行かされたこともあった。

高校の頃、自分でバイトをしてゲームを買おうとしたこともある

けれど、魂胆を見透かされてバイト自体禁止された。

俺はそんな父親が大嫌いで、ほとんど言葉も交わさなくなっていた。

親父は俺の出産時に死んでしまった母親のことで、きっと俺を恨んでいるに違いないと思っていた。

高校を中退してまでも家から出たいと思っていたけれど、俺の唯一の理解者である姉を裏切るような気がしたのと、自分の根性が足りないせいもあってそれもできないでいた。

そして、わざと遠くの大学を受験し親父から離れることにした。

なんとか大学受験を成功し新生活に思いを馳せていたある日、警察から自宅に電話がかかってきた。

それは親父が引き逃げにあったことを告げるものだった。

すぐに病院に駆けつけたけど、もう親父には息はなかった。

泣き崩れる姉を気遣いながらも、愛情を感じたことのない親父の死を俺自身はどこか淡々と受け止めていた。

葬儀が終わった日の夜、姉から大きな紙袋を渡された。

親父から俺への合格祝いで、直接俺に渡すのは照れ臭いので頼まれていたものだったらしい。

中には「よく頑張ったな」という激励の内容の手紙とPS2が入っていた。

それを読んだら涙が溢れてきた。

声を出して泣き崩れてしまった。

親父の死後初めて・・・。

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